知財の未来を切り開く挑戦者・高垣氏——これまでの軌跡と今後の展望
INTERVIEWEE
株式会社イスト 新規事業担当
高垣伸一
大阪府大阪市生野区で生まれ育ちました。防衛大を卒業後、自衛隊ではなく民間企業の道を選び、カシオ計算機で半導体開発エンジニアとして活躍。しかし、会社の経営判断により事業が撤退。その経験から、経営戦略の重要性を痛感し、コンサルタント業界に転身。日本長期信用銀行のシンクタンクで11年間、企業の経営戦略を支援。その後、3回の起業を経験したり、さまざまな企業の役員を務めながらビジネスの実践を学ぶ。そして現在、知財業界のDX化に取り組む。企業と知財の専門家をつなぐオンラインプラットフォームの開発を進め、AIを活用した特許調査や戦略立案を支援する新しい仕組みを構築中。
知財業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、特許・知財の活用方法を変革しようとしている高垣氏。防衛大を卒業し、半導体開発エンジニア、経営コンサルタント、起業家として多岐にわたるキャリアを歩んできた彼が、現在注力しているのは「知財プラットフォームの構築」です。本記事では、高垣氏のこれまでの歩み、現在の取り組み、そして知財業界の未来について、深く掘り下げていきます。
幼少期から防衛大への進学
大阪市生野区で育った高垣氏。多国籍の人々が共存する環境で育ち、多様な価値観に触れることができたと言います。「生野区はエネルギッシュな街でしたね。同じ学校には東野圭吾さんもいました。」幼少期から活発で、スポーツも勉強も積極的に取り組むタイプでした。そんな中、選んだ進学先は防衛大学でした。「自分を鍛えたくて防衛大に進みました。厳しい環境でしたが、それが自分の成長につながると考えていました。」
半導体開発エンジニアとしてのキャリア
卒業後、自衛隊には進まず、技術の最前線で働くことを選択しました。カシオ計算機に入社し、半導体開発に従事。技術者としてのキャリアを積んでいきました。しかし、会社の経営判断によって半導体事業が撤退。「技術者がどれだけ努力しても、経営判断一つで事業がなくなってしまう。それを痛感しました。」この経験が、経営戦略の重要性を意識するきっかけとなりました。
コンサルタント業界への転身と起業
大前研一氏の著書『企業参謀』を読み、経営コンサルタントという職業に興味を持った高垣氏は、日本長期信用銀行のシンクタンクに転職。ここで11年間、企業の経営戦略支援に携わりました。その後、3回の起業を経験し、多くの企業の役員を務めました。「自分の手で作った事業は様々な事業で手放すことになりましたが、経営の現場で学んだことは多かったです。」そして現在、知財業界に新たな挑戦をしています。
知財業界のDX化を目指す
現在、高垣氏が最も注力しているのは、「知財プラットフォームの構築」による『知財業界のDX化』です。知財業界は、他の業界と比べてもデジタル化が遅れています。それにより、知財の申請にかかるコストは高く、中小企業やスタートアップ企業にはその負担が重く、デジタル技術の導入により.これを変革することが求められています。知財に関わるあらゆるユーザーと専門家をオンラインで繋ぎ、有効なデジタルツールを低額で気軽に使えるプラットフォームの構築により、我が国の知財の普及に大きく貢献できると考えています。
開発中の知財プラットフォームの概要
現在開発中の「知財プラットフォーム」は、企業が特許や商標の調査・出願・管理・活用をより効率的に行える仕組みを提供するものです。このプラットフォームの主な特長は以下の3点です。 1. オンライン知財相談コーナー出願に至る前の知財に関わる相談事を知財部OB等の登録アドバイザーにオンラインで気軽に相談できる場を提供する。 2. AIラボ ・生成AI等を使った各種先端システムを搭載し、特許や商標の効率的な調査をスポットで低額で行えるようにする。 3. 知財戦略ルーム ・知財部OBだけでなく、弁理士、弁護士、技術者OB等の専門家をオンラインで一堂に集め、有効な知財戦略の策定できる環境を提供する。 「このプラットフォームを通じて、知財を守るだけでなく、企業の成長に結びつけるための仕組みを提供したいと考えています。」
知財DXの今後の展望
高垣氏は、DXをさらに進めた先に下記の展望を描いています。 1. 生成AIの進化による特許明細書の自動作成。企業が特許を出願する際に、特許の明細書を作成する作業は非常に手間がかかります。AIを活用することで、企業の技術内容を元に自動で明細書のドラフトを作成するシステムを開発中です。これにより、弁理士の業務負担を軽減し、コスト削減にもつながります。 2. 知財情報の可視化と分析。知財の価値を評価・可視化することにより、金融機関からの資金調達やクラウドファンディングの活用を円滑にする。 3. 知財市場・オークションの開設。評価がなされた各種知財を展示し、ライセンス活用、M&Aが活発に行えるようにし、知財の流通・活用を促進する。
今後の予定
今後、高垣氏は、知財プラットフォームの正式ローンチを目指し、さらなる機能強化を進めていく予定です。また、現在この業界では監督官庁である特許庁が外郭団体を活用し様々な支援に乗り出しています。特にスタートアップ企業を総合支援するINPITの支援内容は多岐に渡って非常に手厚いです。官が届かない領域のニーズを上手にすくっていけるシステムにすべく、彼らと対話しながら官と民の境目を見極めながらプロジェクトを進めていくとのこと。 「知財をもっと身近なものにし、企業の成長に直結するツールとして活用できる社会を実現したい。これは、単なるシステム開発ではなく、日本全体の競争力を高めるための挑戦だと考えています。」 このプラットフォームが広く普及すれば、日本企業の知財活用は大きく進化するでしょう。知財業界のDX化が進むことで、新しいイノベーションが生まれ、企業の成長が加速する未来が期待されます。 知財業界のDX化は、まだ始まったばかり。しかし、高垣氏の挑戦によって、知財の世界が大きく変わろうとしています。これからの動向に注目です。
個人としての未来展望
知財業界の未来を見据えながら、高垣氏自身の今後の目標についても聞いてみました。「この業界に変革を起こすことが、私の最大のミッションです。」 1.知財プラットフォームの完成と普及。 ・現在開発中のプラットフォームを正式にリリースし、多くの企業が利用できる環境を整える。 ・AIやクラウド技術をさらに強化し、知財の運用をより簡単にする。 2.知財の価値を社会に広める活動 ・企業向けのセミナーやワークショップを通じて、知財戦略の重要性を伝える。 ・知財の活用方法を具体的に示し、企業の成長をサポートする。 3.新しい知財ビジネスモデルの開発 ・従来の特許ビジネスにとらわれない、新しい知財の収益化モデルを模索する。 ・特許の流通市場を活性化させ、新たな経済圏を創出する。 「知財を単なる法的な権利としてではなく、経済活動の中心に据えることが、これからのビジネスには不可欠です。」知財業界の未来は、今まさに変革の時を迎えています。高垣氏の挑戦が、この業界に新しい風を吹き込むことは間違いないでしょう。今後の動向に注目です。

KEYPERSONの素顔に迫る20問
高垣氏のキャリアや知財業界に対する思いを深く知ることができましたが、ここでは彼の人柄に迫るために、20の質問に答えていただきました。仕事に対する熱意だけでなく、プライベートな一面や価値観も垣間見える回答が満載です。
Q1. 出身地は?
大阪市生野区です。生野区は活気のある街で、多国籍の文化が入り混じる場所でした。韓国や中国の人たちも多く、いろんな価値観に触れられる環境で育ちました。小さい頃から周囲に多様な文化があったので、自然と柔軟な考え方が身についたと思います。
Q2. 趣味は?
テニスです! 昔からスポーツは好きでしたが、今は特にテニスにハマっています。運動にもなるし、戦略を考えながらプレーするのが楽しいですね。週末はテニスをして汗を流すのが最高のリフレッシュになります。
Q3. 特技は?
人の心に火を灯すこと。 これは自分で意識してやっていることですが、周囲の人をやる気にさせ、組織のモチベーションを上げるのが得意です。どんなチームでも、みんなが前向きになれる環境を作るのが好きです。
Q4. カラオケの十八番は?
昔は 安全地帯の『フレンド』 や ミスチル をよく歌っていました。でも最近はあまりカラオケに行っていませんね。久しぶりに行ったら、声が出るか心配です(笑)
Q5. よく見るYouTubeは?
格闘技とテニスの試合動画 ですね。特に格闘技は昔やっていたこともあり、試合の駆け引きや技術の進化を見るのが楽しいです。最近はAI関連の動画もよく見ますね。最新技術の動向を追うのも大事です。
Q6. 座右の銘は?
「風雨深山臥龍」 です。学生時代に水墨画で見たのですが、風雨に耐えながら山陰に伏せ、飛び立つ準備をする龍の姿が描かれていました。——大望を成し遂げるためにはどんな困難をも乗り越えてる努力と忍耐力が必要、と学びました。でも実際は根性が無いのですぐにへこたれますが(笑)。
Q7. 幸せを感じる瞬間は?
テニスの試合で勝ったとき。 あとは、チームで取り組んでいた仕事が成功した瞬間も最高ですね。努力が報われると、それまでの苦労がすべて報われた気がします。
Q8. 今の仕事以外を選ぶとしたら?
小説家です。 物語を作るのが好きなので、いつか文章を書いてみたいと思っています。ビジネスの話や、これまでの経験を活かした本を書いてみたいですね。
Q9. 好きな漫画は?
『あしたのジョー』 です。努力と根性の物語が好きで、何度読んでも心を動かされます。あのストイックな生き方に憧れました。
Q10. 好きなミュージシャンは?
サンタナ ですね。「哀愁のヨーロッパ」や「ブラック・マジック・ウーマン」のギターは何度聴いてもしびれます。
Q11. 今、一番会いたい人は?
亡くなった両親ですね。 もっと感謝の気持ちを伝えたかったです。優しい両親でした。十分恩返しできなかったのが心の残りです。期待通りの人物にはなってないけど、これから残り残りの人生で頑張りますと伝えたい。でも子供と孫はすごくいい子が育ちましたよと報告をしたい。
Q12. どんな人と一緒に仕事したい?
自分にない視点を持っている人。 コミュニケーションがしっかり取れる人が理想ですね。違う視点を持つ人と一緒に働くことで、新しいアイデアが生まれます。
Q13. 社会人になって一番心に残っている言葉は?
「開発即経営」 です。新卒で入ったカシオ計算機の経営理念です。技術陣だけでなく、全社一丸となって新しいモノの開発に挑戦するマインドが全社に浸透していました。素晴らしい風土の組織でした。
Q14. 休日の過ごし方は?
テニスの練習かカフェ巡り。 仕事を忘れて、仲間や家族とリラックスする時間を大切にしています。
Q15. 日本以外で好きな国は?
台湾ですね。 日本に対して友好的な国で、人も温かい。行ったことはないですが、いつか行きたい場所です。
Q16. 仕事で一番燃える瞬間は?
難しい課題を乗り越えたとき。 プロジェクトが成功したときの達成感は何にも代えがたいです。苦労した分、成功したときの喜びは大きいですね。
Q17. 息抜き方法は?
喫茶店でコーヒーを飲みながら考え事をすること。 甘いものも食べながらリラックスします。そんな時に仕事の新しいアイデアが湧いてくることも多いです。
Q18. よく使うアプリやサービスは?
YouTubeとニュースアプリ。 最新情報を収集するために欠かせません。情報収集が仕事の一部なので、常に新しいニュースをチェックしています。
Q19. 学んでいることや学んでみたいことは?
生成AIの活用。 知財業界にどう活かせるかを研究中です。AIが知財戦略をどう変えるかに興味があります。
Q20. 最後に一言
変革を恐れず、知財の可能性を広げる挑戦を続けます!知財業界にもっとイノベーションをもたらしたいですね。
高垣氏の価値観や人となりが垣間見える20の質問でした。仕事に対する情熱や挑戦心が伝わるとともに、プライベートでの意外な一面も垣間見えました。知財業界の未来を切り開く彼の挑戦が、今後どのような形で実を結ぶのか、ますます楽しみです。
知財の価値をもっと身近に
これまでのインタビューを通じて、高垣氏の知財業界に対する熱い思い、キャリアの軌跡、そして未来への展望を伺いました。最後に、読者の皆さんに向けてメッセージをいただきました。
「知財というと、どうしても弁理士や特許庁などの専門家だけが関わるもの、というイメージが強いですよね。でも、実際はそうではありません。知財は、すべての企業にとって価値を生み出す重要な資産です。だからこそ、もっと多くの人に知財の可能性を知ってほしいと思っています。」
【クレジット】
取材・構成・企画/大芝義信 撮影/原哲也
